ホームページのUX改善|ユーザー体験を高めてビジネス成果につなげる考え方

吉成 俊治

ホームページのUX改善|ユーザー体験を高めてビジネス成果につなげる考え方

「自社のホームページを自分で使ってみたことがありますか?」

この質問をすると、「実はあまりちゃんと見たことがない」「スタッフ向けに作った資料を転用しているだけで、外部のユーザーの目線で確認したことはなかった」とおっしゃるホームページの運用ご担当者様が少なくない印象があります。

企業が展開するホームページ(Webサイト)は、社内の人間のためではなく外部の「初めて訪れるユーザー」のために存在します。その一方で、制作する側・発注する側の「思い込み」や「社内の論理」がそのままサイトに反映されてしまい、実際のユーザーにとって使いにくい、わかりにくい、信頼しにくいサイトになってしまうことは珍しくありません。

この「ユーザーにとっての使いやすさ・体験の質」を表す概念が、UX(ユーザーエクスペリエンス)です。UXとは、ユーザーがサービスやプロダクトを通じて得る体験のそのものです。UX の設計は「必要な情報にすぐたどり着けた」「操作が直感的でストレスがなかった」「信頼感があって安心して問い合わせできた」といった印象・記憶づくりを左右する重要なものです。
UX の改善とは、デザインをきれいにすることに限定するものではありません。ユーザーの行動・心理・期待を深く理解し、「ユーザーが迷わず・ストレスなく・安心して目標行動に至れるサイト」を設計するところにあります。これらUXの改善は、直接的にCVR(コンバージョン率)や顧客満足度、さらにはSEO評価にまで影響するものです。

このコラムでは、ホームページのUX改善の基本的な考え方から、具体的な改善ポイント、実際の事例までを解説します。「なぜかサイトの成果が出ない」と感じている方にとって、UXの観点から自社サイトを見直すヒントになれば幸いです。

目次

UXとは何か、なぜ今重要なのか

UXとUIの違い

UXと似た言葉に「UI(ユーザーインターフェース)」があります。UIとは、ユーザーがサービスと接触する「インターフェース(接点)」のことで、ホームページで言えばボタンのデザイン・色・大きさ、フォントの種類、レイアウト、ナビゲーションメニューの配置など「目に見える部分」を指します。

一方のUXは、より広い概念です。UIを含む全体の体験=「サイトを訪れてから離脱するまでの一連の体験がどうだったか」を指します。UIが「見た目の設計」なら、UXは「体験の設計」と言えるでしょう。

UIが優れていても、UXが悪いサイトは存在します。

  • デザインは洗練されているのに、知りたい情報がどこにあるかわからない。
  • ボタンは大きく目立つのに、押した後に何が起きるかが予測できない。

こうしたサイトは、見た目はよくても「使いにくい」という体験を生んでしまいます。

関連記事

GoogleがUXをSEO評価に組み込んでいる

UX改善が重要な背景のひとつとして、GoogleがUXの質をSEO(検索エンジン最適化)の評価指標に組み込んでいることが挙げられます。

2020年ごろから導入された「コアWebバイタル(Core Web Vitals)」という指標は、ページの読み込み速度、視覚的な安定性(レイアウトが突然ずれないか)、操作への反応速度という3つの観点からUXを数値化し、検索順位の評価に反映するものです。また、ユーザーがサイトに訪れてすぐ離脱する(直帰率が高い)、滞在時間が短い、といった行動データもGoogleが学習し、評価に影響すると考えられています。つまり、UXが悪いサイトは「検索でも評価されにくくなる」という構造になっているのです。

SEO対策とUX改善は、もはや切り離せない一体の取り組みです。この視点を持てているかどうかが、ホームページ運用の成果を大きく左右します。

UX改善がビジネスに直結する理由

UX改善がなぜビジネス成果に直結するのかを整理します。

  • UXが良い → ユーザーが迷わず目的にたどり着ける → CVR(問い合わせ・購買率)が上がる
  • UXが良い → ユーザーが快適に使える → 滞在時間が伸び・回遊率が上がる → SEO評価が向上する
  • UXが良い → ユーザーの信頼感・満足度が上がる → リピートや口コミにつながる

逆に言えば、集客を強化してもUXが改善されなければ、訪れたユーザーはサイトで迷い、離脱し、成果につながらないという状態が続きます。UX改善は「サイトをきれいにする」ためではなく、「投資を成果に変えるため」に行うものとお考えください。

ホームページのUXを下げる典型的な問題

現場でよく見られる、UXを損なっている問題パターンを整理します。自社のホームページに当てはまるものがないか確認してみてください。

問題1: 情報の優先順位がユーザー目線になっていない

  • 会社概要を一番目立つ場所に置いている
  • 社内で重要だと思っているサービスを前面に出しているが、ユーザーが本当に知りたいことは後ろに埋まっている

――こうした「社内目線の情報設計」はUXを大きく損ないます。ユーザーは、自分の課題や疑問に答えてくれる情報を求めてサイトを訪れます。自社の都合や自社視点の情報構成ではなく、「ユーザーが何を知りたくてこのページを訪れたか(検索意図)」を起点に情報の優先順位を設計することが重要です。

問題2:ナビゲーション(メニュー)がわかりにくい

  • グローバルナビゲーション(ホームページ全体のページをつなぐメニュー)の項目が多すぎる
  • ラベル(メニューの文言)がわかりにくい、スマートフォンでメニューが使いにくい

――このような問題があると、ユーザーは「自分が探している情報がこのサイトのどこにあるかわからない」という状態に陥り、そのまま離脱してしまいます。ナビゲーションの設計は、「ユーザーがどのページを求めてサイトに訪れるか」という行動パターンを理解した上で行う必要があります。

問題3:スマートフォンでの体験が最適化されていない

  • パソコン向けのデザインをそのままスマートフォンに流用している
  • 文字が小さすぎて読めない、ボタンが指で押しにくいサイズや間隔になっている

——こうした課題を抱える企業やサービスのWebサイト(ホームページ)がいまだに散見されます。現在、多くの業種でサイトへのアクセスの半数以上がスマートフォンからになっています。スマートフォンでのUXを最優先に設計することは、もはやオプションではなく必須の対応になります。

問題4:ページの読み込みが遅い

ページが表示されるまでに時間がかかると、それだけでユーザーはストレスを感じ、離脱率が上昇します。特にスマートフォンの通信環境では、表示の遅さはより顕著に体験に影響します。表示速度はUXの根本的な基盤であり、他のUX改善施策の効果を下支えするものになっています。

※ホームページの読み込み速度は以下のツールで確認することが可能です。
PageSpeed Insights

問題5:コンテンツが「読まれることを想定していない」

  • 長文でも段落が分かれておらず読みにくい
  • 見出しが機能しておらず流し読みできない
  • 図や表を使わずに全て文章で説明している

——こうした問題は、ユーザーが「読む気をなくしてしまう」原因になります。Web上のテキストは、紙の文章とは読まれ方が異なります。ユーザーは最初から全文を丁寧に読むのではなく、見出しや太字をざっと見て「このページに自分の欲しい情報があるか」を素早く判断します。この「流し読み」に対応したコンテンツ設計が、UXの観点から非常に重要です。

問題6:行動を促すポイントが設計されていない

ページを読み終えたとき、「次にどうすればいいか」がわからない状態になっているWebサイト(ホームページ)は、せっかく関心を持ったユーザーをみすみす逃してしまいます。「お問い合わせはこちら」「事例を見る」「資料をダウンロードする」といった、ユーザーの次のアクションを自然に促す設計が随所に必要です。

関連記事

UX改善を進めるための基本的なステップ

UX改善は「なんとなくデザインを変える」ものではなく、ユーザーの行動・心理を理解した上で仮説を立て、改善し、効果を検証するプロセスです。基本的な進め方を整理します。

STEP
現状のデータを確認する

まず、現状のユーザー行動データを確認することから始めます。Googleアナリティクスでは「どのページで離脱が多いか」「どのページの滞在時間が短いか」「どのデバイスからのアクセスが多いか」などを確認できます。Googleサーチコンソールでは「どの検索ワードで訪れているか」「クリック率が低いページはどこか」を把握できます。

データを見ることで、「感覚的にここが問題だと思っていた」という仮説を裏付けたり、「思わぬところに問題があった」という発見につながったりします。

STEP
ヒートマップツールで行動を可視化する

ヒートマップツールとは、ページ上のどの箇所がどれだけクリックされているか、どこまでスクロールされているかを色の濃淡で可視化するツールです。「ユーザーがCTAボタンに気づいていない」「重要なコンテンツがスクロールされる前に離脱されている」「クリックできないと思われている箇所が多くクリックされている(誤認)」といった問題を発見するのに役立ちます。

※無料で使用できるヒートマップの代表的なものにはMicrosoft Clarityなどがあります。

STEP
ユーザーインタビュー・行動観察を行う

数値データだけでは、「なぜそういう行動をしたのか」という理由まではわかりません。実際のユーザーにサイトを使ってもらいながら感想を聞く「ユーザーインタビュー」や、操作の様子を観察する「ユーザビリティテスト」を行うことで、データでは見えてこなかった問題の本質を把握できます。

規模や費用は様々ですが、社内の別部門のスタッフ数名に「このサイトを見て、問い合わせに進むまでを実際にやってもらう」だけでも、多くの気づきが得られます。

STEP
優先順位を決めて改善する

UX上の問題を洗い出したら、「影響の大きさ」と「実施のしやすさ(コストも含む)」の2軸で優先順位を決めます。大きな効果が見込めて、かつ実施しやすい施策から着手するのが基本です。一度にすべてを改善しようとするより、優先度の高いところから順番に手を入れ、効果を確認しながら次に進むほうが着実に成果につながります。

STEP
効果を検証し、継続的に改善する

改善施策を実施したら、データを確認して効果を検証します。改善前後でCVR(コンバージョン率)・直帰率・滞在時間などがどう変化したかを比較します。効果があった施策はさらに深掘りし、効果がなかった施策は別のアプローチを検討します。UX改善は「一度やれば終わり」ではなく、継続的に改善を重ねるプロセスです。

事例紹介

<具体例1> 専門学校G社:情報設計の見直しとスマートフォン対応で資料請求数が1.9倍に

ある専門学校G社は、毎年一定のアクセス数があるものの、資料請求数が伸び悩んでいました。アクセスのうちスマートフォンからの割合が70%を超えていましたが、ホームページのデザインはパソコン向けを前提に作られていました。

問題の診断

スマートフォンでサイトを確認すると、多くの問題が明らかになりました。トップページのメインビジュアルが画面の大半を占め、スクロールしないとコース内容が見えない。コース一覧のメニューが小さなテキストリンクで表示されており、指でタップしにくい。資料請求フォームへの導線がグローバルナビゲーション内にしかなく、ページを読んでいるユーザーが自然に行動に進みにくい設計になっていました。

また、コースの情報ページは詳細なカリキュラムの説明が中心で、「このコースを選ぶとどんなキャリアにつながるか」「在校生・卒業生の声」といった、入学を検討しているユーザーが最も知りたいコンテンツが不足していました。

実施した施策

  • スマートフォンでのファーストビューを全面的に見直し、コース名と特徴を即座に伝えるレイアウトに変更
  • コース選択メニューをタップしやすいボタン型に変更
  • 各コースページに「卒業後の進路事例」「在校生の声」を追加
  • 各ページのスクロール途中・末尾に資料請求ボタンを追加(従来はナビゲーションのみ)
  • 資料請求フォームの必須項目を絞り込み、スマートフォンでの入力操作を最適化

結果

施策実施から約3ヶ月後、スマートフォンからの資料請求数が改善前の1.9倍に増加しました。特に、コースページに追加した「卒業後の進路事例」コンテンツは平均滞在時間が長く、そのページからの資料請求率が他のページよりも高い傾向が確認されました。「資料請求ボタンを押したくなったタイミングにボタンがあった」という、ユーザー行動に寄り添った設計の効果が数字に表れた結果です。

<具体例2> 工務店H社:コンテンツ設計の見直しで「比較検討中ユーザー」のCVRが向上

注文住宅を手がける工務店H社は、ホームページへのアクセスはあるものの「問い合わせしてくれるユーザーの質」に課題を感じていました。検討が浅い段階のユーザーからの問い合わせが多く、商談後の受注につながりにくい状態でした。

問題の診断

ホームページの内容を分析すると、施工事例の写真は充実しています。一方で、「なぜH社に頼むべきか」「H社ならではの設計思想・強みは何か」「費用の考え方・プロセスはどうなっているか」といった、検討段階が進んだユーザーが判断に必要とする情報が不足していることがわかりました。

その結果、ホームページを見ても「まだ決め手がない」という状態のユーザーが「とりあえず問い合わせ」するケースが多く、商談後に他社と比較してH社を選ばないというパターンが多発していました。

実施した施策

  • 代表者のメッセージページを新設し、設計への想い・家づくりの哲学を詳しく掲載
  • 施工事例を「写真ギャラリー」から「ストーリー形式(お客さまの要望→設計の工夫→完成後の暮らし)」に刷新
  • 「H社に頼むと決めた理由」を語るお客様インタビュー動画を4本制作・掲載
  • 「家づくりの流れ・費用の考え方」を解説するコンテンツページを新設
  • 比較検討中ユーザー向けに「他社との違い」を整理したFAQページを追加

結果

施策実施から4ヶ月後、問い合わせ件数こそ大きな変化はありませんでしたが、商談後の受注率が改善前と比べて約1.6倍に向上しました。「問い合わせ前にH社への信頼感がすでに形成されている」ユーザーが増えたことで、商談の質と効率が上がったのです。

このケースが示すのは、UX改善は「量(アクセス・問い合わせ件数)」だけでなく「質(検討の深さ・受注率)」にも大きく影響するということです。ユーザーがサイトを通じてどのような意思決定プロセスを経るかを設計することが、UX改善の本質です。

※上記でご紹介した事例は実際に行われた改善対応をもとに構成したイメージ例になっています。

まとめ:UX改善は「ユーザーを理解すること」から始まる

UX改善の出発点は、「自社が言いたいこと」ではなく「ユーザーが知りたいこと・したいこと・感じていること」を深く理解することです。データを見て、実際の行動を観察し、ユーザーの立場でWebサイト(ホームページ)を体験する。……この姿勢がUX改善の土台になります!

UX改善において意識しておきたいポイント

  • UXはデザインだけの問題ではなく、情報設計・コンテンツ・導線・速度など複合的な要素で決まる
  • UXの問題はデータと観察で特定し、感覚だけで判断しない
  • スマートフォンでの体験を最優先に設計する
  • 一度の改修で完成させようとせず、継続的な改善サイクルを回す
  • UX改善はSEO評価・CVR・顧客満足度のすべてに影響する投資である

UX改善でお悩みの場合は、ぜひご相談ください

「自社サイトのどこにUX上の問題があるかわからない」「改善したいが何から手をつければいいか優先順位が決められない」「UXとSEOを一体で改善してほしい」——そんな方のご相談を、ユニマではお受けしています。

ユニマは、ユーザー行動データの分析・ヒートマップ解析・UI/UX設計・コンテンツ改善・技術的なSEO対策を一体で支援できる体制を持っています。「デザインを変えるだけ」「コンテンツを追加するだけ」ではなく、ビジネスの成果につながるUX改善をご提案します。

ずは現状のサイトについて、お気軽にご相談くださいませ。ご相談は無料です。

※ユニマでは無理な営業行為は行っておりません

参考文献・出典

監修者情報

吉成 俊治

1978年 福島県郡山市生まれ。カルチュア・コンビニエンス・クラブグループにてTSUTAYA事業、Tポイント(現Vポイント)事業、DBマーケティング事業を経験し業務設計やシステム開発に携わる。2023年に株式会社ユニマ設立。企業のWebマーケティング支援をメインに、プロジェクトマネジメント、SEOコンサルティング業務を行う。
● 上級ウェブ解析士
● IMA(Internet Marketing Analyst)認定ホルダー

この記事も読まれています

目次