ホームページ制作|よくある失敗とその防ぎ方

吉成 俊治

「思っていたものと違う」「費用をかけたのに成果が出ない」を未然に防ぐために知っておきたいこと。

「制作会社に依頼したホームページが、思っていたものとまったく違った」
「費用も時間もかけたのに、完成したサイトからは問い合わせが来ない」
「リニューアルしたら、むしろ検索順位が下がってしまった」

こうした声は、WEB制作・WEBコンサルティングに携わる方や、自社のWEB事業を推進するご担当者の方であれば、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。あるいは、ご自身が当事者になってしまったご経験をお持ちかもしれません。ホームページの制作・リニューアルは、決して安くない投資です。それだけに、失敗したときのダメージ ―金銭的なコストはもちろん、社内の信頼や機会損失― は小さくありません。

では、なぜホームページ制作の失敗は繰り返されるのでしょうか? その多くは、制作会社の技術力や対応の善し悪しだけが原因ではありません。「発注前に整理しておくべきことが整理されていなかった」「制作会社との認識合わせが不十分だった」「完成をゴールにしてしまい、運用設計が抜け落ちていた」……こうした構造的な問題が重なって起きていることがほとんどです。

このコラムでは、ホームページ制作でよくある失敗のパターンを整理し、それぞれをどう防ぐかを具体的に解説します。これからホームページの制作やリニューアルを検討している方はもちろん、過去に苦い経験をお持ちの方にも、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

目次

なぜホームページ制作は失敗しやすいのか

「つくること」がゴールになってしまいやすい

ホームページ制作の失敗の根本にあるのは、「サイトを完成させること」自体が目的になってしまうことです。本来、ホームページはビジネスの課題を解決するための手段です。「問い合わせを増やしたい」「採用応募者を増やしたい」「既存顧客の満足度を高めたい」——こうした明確な目的のもとに制作・運用されてこそ、ホームページは価値を発揮します。 しかし、実際の現場では「競合他社がリニューアルしたから」「デザインが古くなってきたから」「社長の鶴の一声で」といった理由で制作が開始され、ゴール設計が後回しにされるケースが少なくありません。目的が曖昧なまま制作を進めると、完成したサイトを見て「何か違う」と感じても、その理由を言語化できないという状況に陥りやすくなります。

発注側と制作側の「認識のズレ」が積み重なる

ホームページ制作は、発注側(クライアント)と制作側(制作会社)の共同作業です。双方の認識が合っていなければ、制作が進むほど「思っていたものと違う」という事態が起きやすくなります。

よくあるのが言葉の解釈の違いで、「シンプルなデザインにしてほしい」という要望ひとつとっても、発注側がイメージする「シンプル」と制作側が解釈する「シンプル」は異なることがあります。参考サイトの共有やデザインの方向性に関するすり合わせが不十分なまま制作が進むと、完成物を見て初めて齟齬(そご)に気づくという事態になりかねません。 また、「どのページに何の情報を載せるか」「ユーザーにどういう順序で情報を届けたいか」といった構成レベルの認識合わせも非常に重要です。制作会社に丸投げしてしまうと、制作側は良かれと思って作っても、発注側の業務理解や顧客像の把握が浅いまま設計されたサイトになりやすくなります。

「完成後」の設計が抜け落ちている

もう一つのよくある失敗の構造は、「公開して終わり」にしてしまうことです。ホームページは公開してからが本番です。アクセス解析を見ながら改善を重ね、コンテンツを更新し続けることで初めて成果につながります。

にもかかわらず、制作段階では更新・運用の体制が議論されないまま進んでしまうことがあります。公開後に「誰がコンテンツを更新するのか」「どのツールで管理するのか」「データはどう確認するのか」が決まっていない状態では、せっかく作ったサイトが放置されてしまうことにもなりかねません。

認識のズレのイメージ

ホームページ制作でよくある失敗パターン7選

では、具体的にどのような失敗が起きやすいのでしょうか。現場でよく見られるパターンを7つにまとめました。

失敗1:目的・ゴールを設定しないまま制作を始める

「とりあえずリニューアルしよう」「競合がやっているから」という理由でスタートし、「このサイトで何を達成したいのか」が決まらないまま制作が進むケースです。目的がなければ、完成後に成果を測る基準もなく、改善の方向性も定まりません。 制作を始める前に、「誰に」「何を伝えて」「どういう行動を取ってもらいたいのか」を言語化しておくことが、あらゆる判断の基準になります。

失敗2:ターゲット・ペルソナが曖昧なまま設計する

「どんな人に見てもらいたいか」が定まっていないと、デザインもコンテンツも「誰にでも向けた、誰にも刺さらない」ものになりがちです。たとえば、同じ中小企業向けのサービスでも、「初めて外部発注を検討している担当者」と「複数社を比較検討しているベテランの購買担当者」とでは、届けるべきメッセージも情報の深さもまったく異なります。ターゲットやペルソナ(利用する典型的なユーザーを一人の具体的な人物として設定したもの)を先に定めることで、コンテンツの内容・文体・デザインの方向性がぶれにくくなります。

失敗3:参考サイトの共有だけでデザインの認識合わせをしない

「こんな感じのデザインにしてください」と参考サイトを渡しただけで、細かいすり合わせをしないまま進めるケースです。色・フォント・余白感・写真の使い方・情報の密度など、デザインの構成要素は多岐にわたります。参考サイトのどの部分を参考にしたいのかを具体的に伝えないと、「全体的に違う」という事態になりやすくなります。

特に、「シンプル」「スタイリッシュ」「信頼感がある」といった抽象的な言葉は、人によって解釈が大きく異なります。言葉だけでなく、ビジュアルで認識を合わせる機会を制作の初期段階で設けることが重要です。

失敗4:コンテンツの準備を制作会社任せにする

ホームページに掲載するテキスト(会社概要・サービス内容・事例など)や写真の準備を、発注側が後回しにしてしまうケースです。「制作会社がうまくまとめてくれるだろう」と思っていると、制作側は限られた情報で文章を作るしかなく、自社の強みや独自性が伝わらない薄いコンテンツになりがちです。

コンテンツはホームページの「中身」そのものです。制作会社はあくまで「器」を作るプロですが、「中に入れる情報」は発注側が主体的に用意・監修する必要があります。コンテンツの準備スケジュールを制作スケジュールと並行して組むことが、品質の高いサイトへの近道です。

失敗5:スマートフォン対応(レスポンシブデザイン)を軽視する

「会社のホームページはパソコンで見るもの」という前提で制作してしまい、スマートフォンでの表示を後から確認すると崩れていた、文字が小さすぎて読めない、ボタンが押しにくい——というケースです。

現在、多くの業種でウェブサイトへのアクセスの半数以上がスマートフォンからとなっています。Googleもスマートフォン版のサイトを基準に評価する「モバイルファーストインデックス」を採用しており、スマートフォン対応の不備はSEO(検索エンジン最適化)評価にも直結します。制作の初期段階からスマートフォン表示を前提にした設計を行うことが必須です。

失敗6:公開後の運用・更新体制を決めていない

前述のとおり、ホームページは公開して終わりではありません。コンテンツの更新、ブログやコラムの追加、キャンペーン情報の掲載、アクセスデータの確認と改善——これらを継続的に行うことで、サイトは成果を生み続けます。

ところが、「公開後は自社で管理する予定だったが、CMSの使い方が複雑でほとんど更新できていない」「担当者が異動してしまい、ログイン情報も引き継ぎもされないまま放置されている」といったケースは非常によく見られます。公開前に、「誰が」「どのくらいの頻度で」「どのツールで」更新するかを決めておくことが重要です。

失敗7:制作会社を価格だけで選んでしまう

複数社に見積もりを依頼し、最も安い制作会社を選んだ結果、品質や対応に問題が生じるケースです。ホームページ制作の費用は、同じような仕様でも制作会社によって大きく異なります。それは、担当者の知識・経験・対応力、制作プロセスの丁寧さ、アフターフォローの充実度など、価格には表れにくい要素が大きく影響しているためです。 価格の安さだけで選んでしまうと、「修正対応が遅い」「追加費用が次々と発生する」「完成後にサポートしてもらえない」といったトラブルにつながりやすくなります。見積もりを比較する際は、価格だけでなく、対応範囲・修正回数・公開後のサポート内容も合わせて確認することが重要です。

【参考】東京都でWebマーケティングに強い会社17選【2026年最新版】

ホームページ制作の検討

失敗を防ぐために発注前に整理しておくべきこと

ここまで失敗パターンを見てきましたが、その多くは「発注前の準備」で防ぐことができます。制作を外部に依頼する前に、以下の点を社内で整理しておくことをおすすめします。

1:制作・リニューアルの目的を一文で言えるようにする

「なぜ今ホームページを作る(リニューアルする)のか」を、一文で端的に言えるようにしておきましょう。「採用応募者を年間○件増やしたい」「問い合わせ数を現在の倍にしたい」「既存顧客が会社情報を調べやすい環境を整えたい」——具体的であればあるほど、制作会社との認識合わせがスムーズになります。

2:メインのターゲットを一人イメージする

「誰に届けたいか」を具体的な一人の人物像(ペルソナ)として描いてみましょう。年齢・業種・役職・抱えている課題・情報収集の方法——こうした要素を整理することで、コンテンツの内容や文体、デザインの方向性が自然と定まってきます。

sample_ペルソナ
ペルソナのイメージ ※氏名・年齢等は実在しない仮想の人物のものです
sample_カスタマージャーニー
カスタマージャーニーのイメージ ※氏名・年齢等は実在しない仮想の人物のものです

ターゲット・ペルソナに関する記事

3:競合・参考サイトを3〜5件リストアップする

「こういうサイトにしたい」「このサイトのここが参考になる」という具体例を用意しておくと、制作会社との認識合わせが格段にスムーズになります。参考にしたい理由(デザイン・構成・文体・機能など)も合わせてメモしておくと、より精度の高いコミュニケーションができます。

4:掲載するコンテンツと用意できる素材を棚卸しする

会社概要・サービス内容・実績・よくある質問・スタッフ紹介・採用情報など、ホームページに掲載する情報を事前に整理しておきましょう。また、写真(オフィス・スタッフ・商品・施工事例など)は用意できるかどうかも確認が必要です。素材が揃っていない状態で制作を始めると、スケジュールの遅延や品質の低下につながります。

sample_ディレクトリマップ
サイトの構成を決めるドキュメントの例(ディレクトリマップ)
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ページの構成を決めるドキュメントの例(ワイヤーフレーム)

5:公開後の運用担当者と更新頻度を決めておく

「誰が更新するか」「月に何回くらい更新できそうか」「CMSは自社で操作できる必要があるか」を事前に決めておきましょう。運用体制に応じて、CMS(コンテンツ管理システム)の選定や管理画面の設計も変わってきます。運用しやすいホームページを作るためには、発注側の運用能力を正直に制作会社に伝えることも重要です。

参考にしたいホームページ制作の失敗からリカバリー実例

SAMPLE紹介見出し

具体例1:小売業A社:制作会社との認識ズレで作り直しに。整理し直して成果へ

ある小売業A社は、ECサイトと連動させた新しいブランドサイトの制作を、知人のつてで紹介された制作会社に依頼しました。打ち合わせは2回ほど行い、参考サイトを数件共有した上で制作がスタート。「あとはプロに任せれば大丈夫」と思っていたそうです。

起きた問題

約3ヶ月後に完成したサイトを見て、担当者は言葉を失いました。デザインの方向性が想定と大きく異なり、ブランドイメージとも合っていない。コンテンツのテキストは制作会社が書いた汎用的な文章で、自社の強みや世界観がまったく伝わらない。スマートフォンで確認すると、一部のページでレイアウトが崩れていた。

修正を依頼したところ、「当初の仕様の範囲外になる」として追加費用が発生することがわかりました。予算を大幅に超えることになり、最終的に別の制作会社に依頼し直す選択をすることになりました。

原因の整理

振り返ると、問題の根本は以下の点にありました。

  • 制作前の目的・ターゲットの言語化が不十分で、制作会社に正確に伝わっていなかった
  • 参考サイトは共有したが、「どの部分を参考にしたいか」を具体的に説明していなかった
  • コンテンツのテキストや写真素材の準備を制作会社任せにしていた
  • 修正の範囲・回数について契約前に確認していなかった

再制作で変えたこと・得られた成果

リスタートにあたって、まず社内でブランドの言語化を行いました。「誰のためのブランドか」「競合と何が違うか」「どんな世界観を伝えたいか」を社内で議論し、制作会社と共有できるブリーフィング資料を作成しました。写真は専門のカメラマンを手配して撮り下ろし、テキストは自社で一次原稿を書いた上で制作会社にブラッシュアップしてもらうフローを選択。スマートフォン対応は仕様書に明記し、制作中に複数回の確認を行いました。

結果として、公開から3ヶ月でECサイトへの流入数が以前の1.8倍に増加し、ブランドに共感した顧客からの問い合わせも増えることになりました。「最初からやり直す手間はかかったが、今度は思い描いていたものが形になった」と担当者は話していました。

具体例2:士業D社:低価格の制作会社に依頼して公開後に問題が続出

士業(資格を持つ専門家が提供するサービス業)を営むD社は、ホームページの新規制作にあたって複数社から見積もりを取得しました。内容・仕様はほぼ同じに見えたにもかかわらず、見積もり金額には3〜4倍の差があり、最終的に最安値の制作会社を選ぶことにしました。

起きた問題

公開後、次々と問題が発生しました。まず、Googleサーチコンソール(検索流入のデータを確認できるGoogleの無料ツール)で確認すると、主要なページがインデックス(Googleの検索データベースへの登録)されていないことが判明。SEOの基本設定が一切行われていなかったことが原因でした。次に、スマートフォンでの表示を細かく確認すると、問い合わせフォームのボタンが画面の外に切れて表示されており、そもそも送信できない状態であることがわかりました。また、SSL化(通信を暗号化してサイトを安全にする処理。URLが「https://」から始まる表記になります)が設定されておらず、Googleから「このサイトは安全ではありません」と警告が出る状態でした。

制作会社に修正を依頼すると、「すべて別途費用がかかる」との回答。問い合わせへの返信も遅く、対応に数週間かかることもありました。

原因の整理

この事例の根本的な原因は「価格だけで制作会社を選んだこと」にありましたが、それだけではありません。

  • 見積もりに何が含まれていて、何が含まれていないかを確認していなかった
  • SEO基本設定やSSL化が仕様に含まれているかを事前に確認しなかった
  • 公開前の動作確認(特にスマートフォン)を発注側が行わなかった
  • 公開後のサポート範囲・対応時間について契約前に確認していなかった

再整備で変えたこと・得られた成果

別の制作会社に依頼して技術的な問題を修正し、SEOの基本設定を整えました。インデックスの問題解消に加え、ページの表示速度改善や内部リンクの最適化も実施しました。その結果、修正完了から約2ヶ月で主要キーワードでの検索順位が大幅に改善。問い合わせフォームが正常に機能するようになったことで、月間の問い合わせ件数が当初の4倍以上に増加しました。

この事例が示すのは、「安いホームページ」は結果として高くつく可能性があるということです。制作会社を選ぶ際は、価格だけでなく「何が含まれているか」「公開後のサポートはどうなっているか」を必ず確認するようにしましょう。

まとめ:ホームページ制作の失敗は「準備」と「パートナー選び」で防げる

ここまでご覧いただいたとおり、ホームページ制作の失敗の多くは、「技術的なミス」より「構造的な準備不足」と「パートナー選びのミス」に起因しています。

  • 制作の目的とゴールを明確にすること
  • ターゲット・ペルソナを具体化すること
  • コンテンツと素材を発注側が主体的に用意すること
  • スマートフォン対応・SEO基本設定を仕様に明記すること
  • 公開後の運用体制を事前に決めておくこと
  • 制作会社を価格だけでなく、対応範囲・実績・サポート体制で選ぶこと

これらを意識するだけで、制作の成功確率は大きく変わります。

ユニマではホームページ制作の手順をあらかじめお伝えし、「制作完了までのロードマップ」と「次に行っていただくべき作業」を明文化することで混乱のない進行を行っております。ユニマのホームページ制作の詳しいながれについては以下のページにてご確認くださいませ。

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監修者情報

吉成 俊治

1978年 福島県郡山市生まれ。カルチュア・コンビニエンス・クラブグループにてTSUTAYA事業、Tポイント(現Vポイント)事業、DBマーケティング事業を経験し業務設計やシステム開発に携わる。2023年に株式会社ユニマ設立。企業のWebマーケティング支援をメインに、プロジェクトマネジメント、SEOコンサルティング業務を行う。
● 上級ウェブ解析士
● IMA(Internet Marketing Analyst)認定ホルダー

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