カスタマージャーニーとは?意味・必要性・活用法を解説

吉成 俊治
代表取締役 / 上級ウェブ解析士

商品やサービスを売るうえで、「良いものを作れば自然に売れる」という時代ではなくなっています。今の顧客は、検索エンジンで調べ、SNSで口コミを見て、比較サイトで違いを確認し、ときには実店舗や問い合わせも経てから意思決定します。しかも、その流れは一方向ではなく、何度も行き来しながら進むことが珍しくありません。こうした複雑な購買行動を理解し、適切なタイミングで必要な情報を届けるために重要なのが、カスタマージャーニーという考え方です。
カスタマージャーニーを理解すると、顧客がどこで商品を知り、どの場面で不安を感じ、何が決め手になって購入するのかが見えやすくなります。その結果、広告、SEO、営業、接客、メール配信、カスタマーサポートなど、複数の施策を顧客視点でつなげて考えられるようになります。
本記事では、カスタマージャーニーの意味から必要性、活用するメリット、カスタマージャーニーマップの基本構成、作り方、注意点、活用例までを初心者向けにわかりやすく解説します。読み終える頃には、単なる用語理解にとどまらず、「自社でどう活かせるか」まで具体的にイメージできるはずです。
カスタマージャーニーとは?まず意味をわかりやすく解説
カスタマージャーニーの基本的な意味
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを認知し、興味を持ち、比較・検討し、購入し、さらに利用継続や再購入に至るまでの一連の行動・思考・感情の流れを指します。「journey」は「旅」という意味で、顧客が購入に至るまでのプロセスを旅になぞらえて捉える考え方です。参考記事でも、認知から購入、利用、継続・再購入までを含む一連の体験として説明されています。
重要なのは、カスタマージャーニーが単なる「行動の順番」ではないことです。顧客は、ただ情報を集めて購入するのではありません。ある場面では期待を感じ、ある場面では不安になり、別の場面では比較に迷います。つまり、行動だけでなく、そのときの心理や感情の変化まで含めて理解することが、カスタマージャーニーの本質です。
たとえば、法人向けのツール導入を検討する担当者を考えてみましょう。最初は「業務改善の方法を知りたい」と検索し、記事を読み、比較資料をダウンロードし、上司への説明材料を集め、デモを見て、最終的に問い合わせに進むかもしれません。この一連の流れのなかで、「本当に効果があるのか」「費用対効果はどうか」「自社に合うのか」といった不安や判断材料が生まれます。こうしたプロセスを整理して捉えることで、顧客がどこでつまずくのか、どんな情報が不足しているのかが見えてきます。
カスタマージャーニーマップとの違い
カスタマージャーニーと似た言葉に、カスタマージャーニーマップがあります。この2つは混同されやすいですが、厳密には少し意味が異なります。
カスタマージャーニーは、顧客が購入や継続に至るまでの体験そのもの、あるいはその考え方を指します。一方でカスタマージャーニーマップは、その流れを図や表にして見える化したものです。HubSpotや才流でも、顧客の行動や感情を時間軸で整理して可視化した図をカスタマージャーニーマップと説明しています。
つまり、カスタマージャーニーは概念であり、カスタマージャーニーマップはそれを共有・分析しやすくするための実務ツールです。社内で共通認識を持ったり、施策の改善点を見つけたりするときには、頭の中で理解するだけでは不十分です。表にまとめ、関係者全員が同じ景色を見られるようにすることが大切です。
カスタマージャーニーが注目される背景
カスタマージャーニーが重視される背景には、顧客の購買行動が以前よりもはるかに複雑になっていることがあります。インターネットやSNSの普及により、顧客は企業からの発信だけでなく、口コミ、レビュー、比較サイト、動画、SNS投稿など、さまざまな接点から情報を得るようになりました。参考記事でも、アーンドメディアや比較サイト、口コミなど接点の多様化が進み、顧客体験の複線化が起きていると説明されています。
顧客の購買行動が複雑化している
以前は、テレビCMやチラシ、営業訪問など、比較的限られた接点の中で顧客が判断するケースが多くありました。しかし今は、検索で情報を集めたあとにSNSで評判を確認し、比較サイトで価格差を見て、公式サイトで詳細を確認し、それでも迷えばYouTubeや口コミまで見る、という行動が当たり前です。
このように購買プロセスが複雑になると、企業側も「どこで見込み客が生まれ、どこで離脱し、何が意思決定を後押しするのか」を把握しにくくなります。そのため、顧客の行動を時系列で整理するカスタマージャーニーの重要性が高まっています。
SNSや検索など接点が多様化している
顧客との接点は、公式サイトや店舗だけではありません。検索結果の記事、SNS広告、比較メディア、YouTube動画、メールマガジン、チャット、セミナー、問い合わせ対応など、あらゆる場面がタッチポイントになります。GenesysやSATORIでも、複数の接点を通じて顧客理解を深める重要性が示されています。
接点が多いということは、それぞれの場面で顧客が求める情報も異なるということです。認知段階では「まず知るための情報」が必要ですが、比較段階では「違いや根拠」が必要です。購入直前には「不安を解消する情報」が重要になります。カスタマージャーニーは、こうした接点ごとの情報設計にも役立ちます。
購入後の継続・再購入まで重要になっている
近年は、売って終わりではなく、購入後の体験まで重視する企業が増えています。サブスクリプション型サービスの拡大や、口コミ・レビューが購買に影響しやすい環境では、初回購入よりも継続利用や再購入、推奨の獲得が重要になるからです。SATORIやパーソルでも、継続・再購入まで含めて顧客理解する考え方が紹介されています。
そのため、カスタマージャーニーは「購入までの導線設計」だけでなく、「購入後にどのような体験を提供するか」「離脱をどう防ぐか」まで視野に入れて考える必要があります。
カスタマージャーニーが必要とされる理由
顧客視点で課題を把握しやすくなるため
企業が施策を考えるとき、どうしても自社目線になりがちです。「この機能は便利」「このキャンペーンはお得」と考えていても、顧客にとって本当に必要な情報かどうかは別問題です。カスタマージャーニーを整理すると、顧客がどの段階で何を知りたいのか、どこで迷うのかが見えるため、売り手の論理ではなく顧客の文脈で課題を捉えやすくなります。SATORIでも、カスタマージャーニーマップの作成は顧客起点で自社の商品・サービスを再確認する機会になると説明しています。
たとえば、企業側は「価格訴求」が有効だと思っていても、顧客は価格そのものより「導入失敗の不安」を気にしているかもしれません。その場合、必要なのは値引きではなく、導入事例やサポート体制の説明です。こうしたズレを見つけられるのが、カスタマージャーニーの価値です。
タッチポイントごとの施策を最適化できるため
顧客は、すべての接点で同じ気持ちではありません。まだ商品を知らない段階の人と、比較検討中の人では、必要な情報が異なります。だからこそ、タッチポイントごとに施策を変える必要があります。HubSpotでは、見える化によって適切な場所やタイミングで最適な施策を打てると説明しています。
たとえば、認知段階ではSEO記事やSNS投稿で課題を知ってもらい、比較検討段階では機能比較表や導入事例、FAQで不安を解消し、購入直前では問い合わせ導線や無料相談の案内を強化するといった流れです。カスタマージャーニーがあると、施策の出し分けに一貫性が生まれます。
部門間で顧客理解を共有しやすくなるため
顧客体験は、マーケティング部門だけで完結しません。広告担当、SEO担当、営業、インサイドセールス、カスタマーサポート、商品開発など、多くの部門が関わります。そのため、「顧客がどんな流れで購入に至るのか」を共通認識として持てるかどうかが非常に重要です。SATORIでは、マップとして可視化することで関係者間の認識共有が進み、施策展開もスムーズになるとしています。
社内で成果が出ないとき、実は施策そのものより、部門ごとの認識のズレが原因になっていることもあります。マーケティングは「資料請求で十分」と考え、営業は「資料請求段階ではまだ温度感が低い」と感じ、サポートは「導入後の説明不足が離脱の原因」と見ているかもしれません。カスタマージャーニーを共通言語にすると、こうしたズレを減らせます。
顧客体験の改善につながるため
顧客が商品を知ってから購入後に満足するまでの体験全体を設計できることも、カスタマージャーニーの大きな価値です。たとえば、問い合わせフォームが長すぎる、比較表がなく判断しにくい、導入後のフォローが不足しているなど、売上に直結しそうにない細かな体験も、実際には大きな離脱要因になりえます。
カスタマージャーニーを使えば、こうした体験上のボトルネックを発見しやすくなります。単に集客数を増やすだけでなく、顧客がストレスなく意思決定できる環境を整えることが、結果的に成果向上につながります。
カスタマージャーニーを活用するメリット
顧客理解が深まり訴求がぶれにくくなる
カスタマージャーニーを活用すると、「誰に」「何を」「どの順番で伝えるべきか」が整理されるため、訴求の軸がぶれにくくなります。顧客理解が浅いまま施策を進めると、記事では機能訴求、広告では価格訴求、営業ではサポート訴求と、伝えることがバラバラになりやすいものです。
一方で、ジャーニーに沿って顧客の関心事を整理しておけば、認知段階では課題提起、比較段階では違いの説明、購入前には不安払拭というように、自然な流れで情報設計できます。結果として、顧客にもわかりやすく、一貫したブランド体験を提供しやすくなります。
必要なタイミングで適切な情報提供ができる
カスタマージャーニーの良さは、情報の「内容」だけでなく「出すタイミング」まで考えられることです。どれだけ優れた情報でも、出す順番がずれると刺さりません。まだ課題認識が浅い人に詳細な料金表を見せても響きにくく、逆に導入を迷っている人に概念説明だけをしても決め手にはなりません。
顧客が今どのフェーズにいるかを踏まえて情報を出し分けることで、無理なく次の行動を促せるようになります。これはコンテンツマーケティング、広告運用、メール施策、営業資料など、あらゆる場面で有効です。
マーケティング施策の優先順位を決めやすい
施策を考えるときに、「やるべきことが多すぎて何から手をつければよいかわからない」という悩みはよくあります。カスタマージャーニーを作ると、どのフェーズに課題が集中しているかが見えやすくなるため、優先順位をつけやすくなります。
たとえば、流入は多いのに問い合わせにつながらないなら、比較検討から購入直前の情報不足が課題かもしれません。反対に、問い合わせはあるのに受注しないなら、営業接点での説明や期待値調整に問題がある可能性があります。ジャーニーを使うと、感覚ではなく流れの中で課題を見られるため、施策の順番を決めやすくなります。
購入後の継続利用やファン化にも活かせる
カスタマージャーニーは、新規獲得だけのものではありません。購入後に顧客がどんな不安を持ち、どんな情報を必要とし、どうすれば満足度が高まるかを考えることで、継続利用や再購入、紹介促進にもつなげられます。特に継続課金型のビジネスでは、導入後の体験設計がLTVに直結します。
初回利用時のサポート、活用方法の案内、成功事例の共有、定期フォローなどをジャーニーに組み込めば、顧客が離脱しにくい体験を設計できます。顧客に選ばれ続けるためには、購入前だけでなく購入後の旅路も丁寧に設計することが欠かせません。
カスタマージャーニーの基本構成
横軸は購買プロセスで整理する
カスタマージャーニーマップでは、一般的に横軸に顧客の購買プロセスを置きます。才流でも「横軸:購買プロセスを設置する」という考え方が示されています。
購買プロセスの区切り方は業界や商材によって変わりますが、基本的には以下のような流れで整理するとわかりやすいです。
認知
顧客が商品やサービス、あるいは自社の存在を初めて知る段階です。検索、SNS、広告、口コミ、ニュース、紹介など、接点はさまざまです。この段階では、まだ具体的な比較検討をしていないことも多く、「課題を知る」「存在を知る」ことが中心になります。
興味・関心
認知したあとに、「少し気になる」「詳しく知りたい」と思い始める段階です。記事を読む、公式サイトを見る、SNSアカウントを確認する、資料を眺めるなどの行動が起こります。ここでは、顧客が感じている課題や悩みに対して、自社がどのように役立てるのかを示すことが重要です。
比較・検討
候補の1つとして認識され、他社や代替手段と比較される段階です。機能、価格、実績、使いやすさ、サポート体制などが検討材料になります。この段階では、違いがわかる情報や、導入不安を減らす情報が必要です。
購入
最終的に申し込み、契約、購入といった行動に移る段階です。ここでは、問い合わせのしやすさ、申し込み導線のわかりやすさ、手続きの簡便さなどが大きく影響します。意思決定直前の小さなストレスが離脱につながることもあるため、細かなUXまで意識する必要があります。
継続・再購入
購入後に満足して使い続ける、追加購入する、他人にすすめる段階です。ここで良い体験ができれば、LTVの向上だけでなく口コミや紹介にもつながります。顧客との関係は購入で終わらない、という視点が大切です。
縦軸は顧客の行動・思考・感情で整理する
縦軸には、各フェーズにおける顧客の状態を整理します。HubSpotや才流、パーソルの記事でも、行動や思考、感情、接点などを可視化する考え方が見られます。
顧客行動
顧客が実際に何をしているかを書き出します。検索する、比較サイトを見る、資料をダウンロードする、問い合わせる、営業と話すなど、観察しやすい事実ベースの行動です。まずは行動を洗い出すことで、接点の全体像が見えます。
顧客心理
各行動の背景にある考えや疑問、不安を書き出します。「本当に効果があるのか」「費用は高すぎないか」「失敗したくない」といった心理を想定することで、必要なコンテンツやサポートが見えてきます。
タッチポイント
顧客が企業や情報に触れる接点です。検索結果、SNS、記事、広告、比較サイト、ウェビナー、メール、営業、チャット、店舗などが該当します。接点を整理すると、「どこで情報提供すべきか」が明確になります。
課題
各フェーズで顧客がつまずく点や、企業側が改善すべき点を整理します。情報不足、導線のわかりにくさ、比較材料の不足、初期設定の難しさなど、成果を妨げる要因を可視化することが重要です。
必要な施策
最後に、課題を解決する施策へ落とし込みます。記事の追加、FAQの整備、比較表の作成、導入事例の掲載、問い合わせ導線の改善、営業資料の見直しなど、実行可能な形にすることで初めてジャーニーが活きます。

ペルソナ設定が重要な理由
カスタマージャーニーは、誰に向けた旅路なのかが曖昧だと機能しません。新卒採用担当者と経営者では、同じサービスを検討するとしても、重視する情報も不安も大きく異なります。そのため、事前にペルソナを明確にしておくことが重要です。
ただし、ペルソナ設定は細かければ良いわけではありません。年齢や趣味を細かく作り込むことより、「どんな課題を持ち」「何を判断基準にし」「どこで迷うのか」を明確にすることが大切です。ジャーニー作成の目的は、物語を作ることではなく、施策に活かせる顧客理解を得ることにあります。
カスタマージャーニーマップの作り方
目的を明確にする
最初に決めるべきなのは、何のためにカスタマージャーニーマップを作るのかです。問い合わせ数を増やしたいのか、資料請求後の商談化率を改善したいのか、継続率を高めたいのかで、見るべきフェーズや必要な情報は変わります。
目的が曖昧なまま作ると、きれいな図はできても、施策改善につながりません。まずは「どの成果を改善したいのか」「どの顧客層を対象にするのか」をはっきりさせることが重要です。
ペルソナを設定する
次に、対象となる顧客像を設定します。BtoBなら担当者の役職、課題、導入権限の有無、社内調整の有無などが重要です。BtoCなら利用シーン、購入動機、比較対象、情報収集の手段などを明確にします。
ここで大切なのは、思い込みだけで作らないことです。営業やサポートの現場の声、問い合わせ内容、アクセス解析、検索キーワード、アンケート結果など、実際の顧客情報をもとに設定すると精度が高まります。
ペルソナの関連記事

購買プロセスを整理する
ペルソナが決まったら、その顧客がどのような流れで購入や契約に至るのかを整理します。認知、興味・関心、比較・検討、購入、継続など、段階を分けて考えるとわかりやすくなります。
このとき、あまり細かく分けすぎると使いにくくなるため、最初は大枠で十分です。実務上は、関係者全員が理解しやすく、改善アクションに落とし込みやすい粒度にすることが重要です。
行動・思考・感情・接点を書き出す
各フェーズごとに、顧客が何をし、何を考え、何を感じ、どこで接触しているかを書き出します。ここがカスタマージャーニーの中心部分です。
たとえば比較検討段階なら、「競合と比較している」「失敗したくない」「導入事例がほしい」「比較表や口コミを見ている」といった内容が並ぶかもしれません。ここまで整理できると、顧客に必要な情報や不足している接点が見えてきます。
課題を見つけて施策に落とし込む
書き出した内容をもとに、どこに問題があるかを確認します。認知は取れているのに比較で離脱しているのか、問い合わせ後の対応が遅くて機会損失が起きているのか、購入後のフォロー不足で継続率が下がっているのかなど、ボトルネックを特定します。
課題が見えたら、具体的な施策に変換します。SEO記事を増やす、比較表を追加する、問い合わせフォームを短くする、導入後オンボーディングを整えるなど、実行できるレベルまで落とし込むことが大切です。
作成後に検証と改善を行う
カスタマージャーニーマップは、一度作ったら完成ではありません。顧客行動は変化しますし、競合環境も変わります。実際に施策を実行したうえで、データや現場の声を見ながら更新していくことが重要です。
検索流入の変化、問い合わせ内容、営業現場の反応、継続率の推移などを確認し、ジャーニーの想定とズレていないかを定期的に見直しましょう。使われないマップにしないためには、運用前提で作ることが欠かせません。
カスタマージャーニー活用時の注意点
自社視点で作らない
最もよくある失敗は、顧客視点ではなく自社視点で作ってしまうことです。「この機能を一番伝えたい」「この導線を通ってほしい」という企業側の期待をそのまま並べても、実際の顧客行動とはずれることがあります。
ジャーニーは、自社が見せたい流れではなく、顧客が実際にたどる流れを整理するものです。現場の声やデータをできるだけ反映し、理想ではなく実態に近づける姿勢が必要です。
一直線の行動だけを前提にしない
顧客は、認知から購入まで一直線に進むとは限りません。SNSで偶然知ってすぐ購入することもあれば、比較と検討を何度も往復することもあります。SATORIや才流でも、複雑化した購買行動を背景に「古い」「意味がない」と言われる文脈が紹介されています。
だからこそ、ジャーニーは「完全な現実の再現」ではなく、「主要な流れを整理するための仮説」として捉えることが大切です。すべての例外を盛り込もうとすると、かえって使えない資料になります。
作って終わりにしない
きれいなマップを作ること自体が目的になると、実務に活かされません。作成後に、どの課題から改善するか、誰が何を実行するかまで決める必要があります。
また、社内共有して終わりではなく、コンテンツ制作、広告設計、営業資料、問い合わせ導線、サポート体制など、実際の施策に反映して初めて意味が生まれます。使う前提のマップにすることが大切です。
顧客データや現場の声を反映する
想像だけで作ったジャーニーは、もっともらしく見えても精度が低くなりがちです。アクセス解析、検索クエリ、ヒートマップ、問い合わせ履歴、商談メモ、サポート問い合わせ、アンケートなど、具体的なデータをできるだけ反映しましょう。
特に、営業やカスタマーサポートは顧客の悩みを直接聞いているため、ジャーニー作成に欠かせない情報源です。マーケティング部門だけで完結させないことが重要です。
カスタマージャーニーは古い・意味がないと言われるのはなぜか
購買行動が複雑で予測しにくくなっているため
カスタマージャーニーは、近年「古い」「意味がない」と言われることがあります。その背景には、顧客行動があまりにも複雑になり、企業が想定した通りに動かないケースが増えていることがあります。才流やSATORIでも、この論点が取り上げられています。
たしかに、今の顧客は多様な接点を行き来しながら意思決定します。従来のように一直線のファネルだけで説明するのは難しくなっています。
想定通りに進まないケースが増えているため
検索より先にSNSで商品を知り、そのままECで購入する人もいます。逆に、いったん購入直前まで進んだのに、口コミを見て比較フェーズに戻る人もいます。こうした行動を見ると、「そもそも旅路を固定化して考えること自体が無理なのでは」と感じるかもしれません。
しかし、ここで重要なのは、カスタマージャーニーは顧客行動を完全に予言するためのものではない、という点です。実務では、代表的な流れを整理し、改善の起点にすることに価値があります。
それでも今なお活用価値がある理由
複雑化した時代でも、カスタマージャーニーが不要になったわけではありません。むしろ、複雑だからこそ、主要な流れを整理して共通認識を持つ必要があります。参考記事でも、顧客体験上の課題発見や施策検討に有効だと説明されています。
顧客理解の土台になる
ジャーニーは、顧客理解の出発点として機能します。完璧でなくても、「この顧客はこの段階でこう迷う」という仮説があることで、施策の精度は上がります。
改善ポイントの発見に役立つ
どこで離脱しやすいか、どの情報が不足しているかを可視化できるため、施策改善に直結します。漠然と「成果が出ない」と悩むより、具体的な改善ポイントを見つけやすくなります。
部門横断の共通認識を作れる
マーケティング、営業、サポートなど、複数部門が顧客を支える時代だからこそ、共通言語としての価値があります。完璧な地図でなくても、同じ方向を見るための土台として十分有効です。
カスタマージャーニーの活用例
BtoCでの活用例
BtoCでは、認知から購入までのスピードが比較的速く、SNSや口コミの影響が大きい傾向があります。たとえば化粧品であれば、SNS投稿で知り、レビューを見て、ECで比較し、公式サイトで購入する流れが考えられます。
この場合、認知段階ではSNSや動画の訴求、比較段階ではレビューや成分説明、購入段階ではキャンペーンや送料条件のわかりやすさが重要になります。ジャーニーを整理すると、どの接点で何を強化すべきかが見えやすくなります。
BtoBでの活用例
BtoBでは、検討期間が長く、関係者も多くなりやすいのが特徴です。担当者だけでなく、上司、決裁者、現場利用者など、複数の立場が意思決定に関わるケースも少なくありません。
そのため、課題認識の段階ではノウハウ記事、比較段階では資料や事例、決裁段階では費用対効果や導入手順の説明など、フェーズに応じた情報設計が重要です。問い合わせボタンの設置だけでなく、その前段階で信頼を醸成するコンテンツが必要になります。
Webマーケティングでの活用例
SEO、広告、SNS、ホワイトペーパー、メールなどを個別に運用していると、どうしても施策が分断されがちです。カスタマージャーニーを使うと、それぞれの施策を顧客の流れの中で位置づけられます。
たとえば、SEO記事は認知・興味喚起、比較表は検討支援、導入事例は不安払拭、CTAは行動喚起、メールは再検討促進というように、役割を明確にできます。これにより、コンテンツ制作の方針もぶれにくくなります。
営業やカスタマーサポートでの活用例
営業では、「顧客が問い合わせ前に何を調べ、どんな不安を持っているか」を理解することで、ヒアリングや提案の質が上がります。サポートでは、購入後に顧客がどこで困りやすいかを把握することで、FAQやオンボーディングの改善につなげられます。
つまり、カスタマージャーニーはマーケティングだけのものではありません。顧客と接するすべての部門で活用できる考え方です。
カスタマージャーニーを効果的に活かすポイント
タッチポイントを定期的に見直す
接点は時代とともに変化します。以前は検索中心だった業界でも、今はSNSや動画が重要になっているかもしれません。新しい媒体や行動変化を踏まえて、タッチポイントを定期的に見直すことが大切です。
関係部門で共通認識を持つ
ジャーニーを作っても、一部の担当者しか見ていなければ意味がありません。関係部門で共有し、「このフェーズではこの情報が必要」という認識をそろえることが重要です。共通認識があれば、施策のつながりも強くなります。
数値と定性情報の両方で改善する
アクセス数やCVRなどの数値だけでは、顧客の本音は見えません。一方で、現場の声だけでも全体像は把握しにくいものです。定量データと定性情報の両方を組み合わせてジャーニーを見直すと、より実態に近い改善ができます。
まとめ|カスタマージャーニーは顧客理解と施策改善に役立つ
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを認知し、興味を持ち、比較し、購入し、継続利用に至るまでの体験の流れを整理する考え方です。参考記事でも、認知から購入、継続・再購入までを含む一連の体験として位置づけられ、可視化によってタッチポイントの最適化や施策改善に役立つと説明されています。
購買行動が複雑化した今、顧客は複数の接点を行き来しながら意思決定します。だからこそ、顧客の行動・思考・感情を時系列で整理し、どこで何を伝えるべきかを考えることが重要です。カスタマージャーニーを活用すれば、顧客理解が深まり、部門間の認識がそろい、コンテンツや導線の改善ポイントも見えやすくなります。
もし自社のマーケティング施策や営業導線を見直したい場合は、まずは主要な顧客像を1つ決め、認知から問い合わせまでの流れを書き出すところから始めてみてください。
そして、「どの段階で何に迷っているのか」「どの接点で背中を押せるのか」を整理できたら、次は具体的な改善施策へつなげる段階です。
カスタマージャーニーを踏まえたコンテンツ設計や導線改善を進めたい方は、ぜひお問い合わせボタンからご相談ください。
参考文献・出典
- 引用元:SATORI「わかりやすい『カスタマージャーニーとは』概念・必要性・事例」
URL:https://satori.marketing/marketing-blog/customer-journey/ - 引用元:Genesys「カスタマージャーニーとは?やさしい図解で基本がまるわかり」
URL:https://www.genesys.com/ja-jp/blog/post/what-is-customer-journey - 引用元:才流「カスタマージャーニーの意味って?基本の概念と構成〖初心者向け解説〗」
URL:https://sairu.co.jp/method/16013/ - 引用元:HubSpot「カスタマージャーニーとは?基本的な意味&具体的な施策を解説」
URL:https://blog.hubspot.jp/marketing/customer-journey-all-you-need-to-know - 引用元:パーソルグループ「カスタマージャーニーとは|わかりやすい作り方や活用例を解説」
URL:https://www.persol-group.co.jp/service/business/article/14465/
監修者情報

吉成 俊治
1978年 福島県郡山市生まれ。カルチュア・コンビニエンス・クラブグループにてTSUTAYA事業、Tポイント(現Vポイント)事業、DBマーケティング事業を経験し業務設計やシステム開発に携わる。2023年に株式会社ユニマ設立。企業のWebマーケティング支援をメインに、プロジェクトマネジメント、SEOコンサルティング業務を行う。
● 上級ウェブ解析士
● IMA(Internet Marketing Analyst)認定ホルダー



